普段、レントゲンを撮らない方は、料金がいくらくらかかるのか気になる方も多いと思います。
CTやMRTは高額ですが、それに比べるとレントゲンは割と安価に設定されています。
私は側弯症持ちで、頻繁にレントゲンを撮影するので、実体験をもとに料金について調べてみました。私は、医療関係者ではないので、その辺はご容赦ください。
医療費(診療報酬)は全国一律で、診療報酬点数により計算され、1点=10円です。窓口で支払う金額については、10円未満の金額は四捨五入します。
例えば、診療報酬点数が287点だと医療費は2870円で、窓口での支払いは3割負担の方は861円になりますが、四捨五入して860円として請求されます。
診療報酬点数は、2年に1度見直されます。この記事のデータは、平成30~31年度(2018~2019年度)の診療報酬改定の点数です。
レントゲンの料金
レントゲンは、画像診断の一つでエックス線診断と呼ばれます。
以前はアナログ撮影が一般的でしたが、今はデジタル化されています。デジタル撮影は、アナログ撮影より少しだけ高い点数が設定されています。
レントゲンの撮影料金は、
- 撮影料:レントゲンを撮影する料金
- 診断料:撮影した画像を医師が見て判断する料金
- 電子画像管理加算:撮影した画像を電子化して管理、保存する場合の料金
に分かれ、これらを合わせた金額になります。
レントゲンの撮影料
撮影料とは、レントゲンで撮影する費用で、単純撮影(デジタル撮影の場合)だと1枚につき68点(680円)かかります。特殊撮影だと270点(2700円)、造影剤使用撮影だと154点(1540円)、乳房撮影だと202点(2020円)です。
同じ部位を2枚以上撮影した場合は、2~5枚目が半分の点数で、単純撮影の場合は34点(340円)、特殊撮影だと135点(1350円)、造影剤使用撮影だと77点(770円)です。6枚目以降は費用はかかりません。
ちなみに、アナログ撮影だと単純撮影で60点(600円)、特殊撮影で260点(2600円)、造影剤使用撮影で144点(1440円)、乳房撮影で192点(1920円)です。
デジタル撮影の場合 | 1枚目 | 2~5枚目 |
単純撮影 | 68点(680円) | 34点(340円) |
特殊撮影 | 270点(2700円) | |
造影剤使用撮影 | 154点(1540円) | |
乳房撮影 | 202点(2020円) |
特殊撮影、心臓や冠動脈の造影剤使用撮影、乳房撮影の撮影料は、複数枚撮影しても一連のものについて1回として算定します。
レントゲン撮影を2枚以上撮った場合、その撮影部位が異なる場合、部位ごとに1回として計算します。たとえば、頭部と胸部を1枚ずつ撮影した場合は、頭部で68点、胸部で68点となり、合計136点になります。
レントゲン撮影に失敗し、再撮影した場合の費用は医療機関が負担します。ただし、患者の故意や過失の場合を除きます。
レントゲンの診断料
診断料は、撮影した画像について医師が診断する費用で、撮影料とは別にかかります。
撮影部位によって診断料が異なり、頭部、胸部、腹部、脊椎は85点(850円)、ひじや膝、指などその他の部位は43点(430円)です。診断料はデジタル撮影、アナログ撮影とも同じ料金です。
同じ部位のレントゲン写真を2枚以上診断した場合は、2枚目以降の点数が半分になり、頭部、胸部、腹部、脊椎は42.5点(425円)、その他の部位は21.5点(215円)です。
診断料 | 1枚目 | 2枚目以降 |
頭部、胸部、腹部、脊椎 | 85点(850円) | 42.5点(425円) |
その他 | 43点(430円) | 21.5点(215円) |
特殊撮影 | 96点(960円) | |
造影剤使用撮影 | 72点(720円) | |
乳房撮影 | 306点(3060円) |
特殊撮影、乳房撮影、心臓や冠動脈の造影剤使用撮影の診断料は、複数枚撮影しても一連のものについて1回として算定します。
他の医療機関で撮影したレントゲン写真を持ち込んだ場合の診断料は、複数枚あっても撮影部位ごとに1回と計算します。例えば、胸部のレントゲン3枚でも、1回の診断料だけで済みます。
電子画像管理加算
撮影した画像を電子化して、管理、保存した場合、電子画像管理加算として、撮影料、診断料とは別に診療報酬が発生します。単純撮影の場合では、57点(570円)です。
単純撮影 | 57点(570円) |
特殊撮影 | 58点(580円) |
造影剤使用撮影 | 66点(660円) |
乳房撮影 | 54点(540円) |
同じ部位を複数撮影しても、1回として数えます。異なる部位を撮影した場合は、部位ごとに加算されます。
他の医療機関で撮影したレントゲン写真の診断のみを行った場合は、電子画像管理加算は算定しません。
レントゲン撮影の合計料金
レントゲンの料金は、以上の撮影料、診断料、電子画像管理加算の合計金額です。
頭部、胸部、腹部、脊椎の料金
撮影枚数 | 撮影料 | 診断料 | 電子画像管理加算 | 合計点数 | 3割負担の場合 |
1枚 | 68点 | 85点 | 57点 | 210点 | 630円 |
2枚 | 128点 | 102点 | 57点 | 287点 | 860円 |
3枚 | 136点 | 170点 | 57点 | 363点 | 1198円 |
4枚 | 170点 | 213点 | 57点 | 440点 | 1320円 |
5枚以上 | 204点 | 255点 | 57点 | 516点 | 1550円 |
ひじや膝、指などその他の部位の料金
枚数 | 撮影料 | 診断料 | 電子画像管理加算 | 合計点数 | 3割負担の場合 |
---|---|---|---|---|---|
1枚 | 68点 | 43点 | 57点 | 168点 | 500円 |
2枚 | 102点 | 65点 | 57点 | 224点 | 670円 |
3枚 | 136点 | 86点 | 57点 | 279点 | 840円 |
4枚 | 170点 | 108点 | 57点 | 335点 | 1010円 |
5枚以上 | 204点 | 129点 | 57点 | 390点 | 1170円 |
乳房撮影の場合
撮影料 | 診断料 | 電子画像管理加算 | 合計点数 | 3割負担の場合 |
202点 | 306点 | 54点 | 562点 | 1690円 |
医療費は非常に複雑で、この他にも、新生児加算、乳幼児加算、脳脊髄腔造影剤使用撮影加算などがありますので、費用が多少変わるかもしれません。
実際にレントゲンを撮りました
私が実際に撮ったレントゲンの料金を見てみたいと思います。ちなみに、2018年度(2018~2019年)の診療報酬の料金です。
脊椎のレントゲンを2枚撮影
▼私は、ある病院で脊柱のレントゲンを2枚撮影しました。
- 撮影料(脊柱)、単純撮影68点+2枚目34点=102点
- 診断料(脊柱)、1枚目85点+2枚目42.5点=127.5点
- 電子画像管理加算、57点
- 合計、287点(小数点以下は四捨五入)
レントゲンを2枚撮影し、合計287点(2,870円)で、他の診察料を含めないレントゲン部分だけの料金は、3割負担で860円(10円未満は四捨五入)です。
それに再診料が73点(730円)加わり、合計で360点(3600円)、窓口負担での支払いは3割で1080円でした。
脊柱のレントゲンを5枚撮影し、他の医療機関でのレントゲン写真も見てもらった時
▼今回は、地元の病院で紹介された大学病院で脊柱のレントゲンを5枚撮影しました。その際、紹介状の中にレントゲン写真があり、その診断料も含まれています。
- 撮影料(脊柱)、1枚目68点+2枚目34点×4枚=204点
- 診断料(脊柱)、1枚目85点+2枚目42.5点×4枚=225点
- 電子画像管理加算、57点
- 合計、516点
- 他の病院のレントゲン写真の診断料(脊柱)、85点
レントゲンの5枚撮影の部分でいうと、516点(5160円)で、3割負担で1550円です
その他に、他の医療機関の紹介状に入っていたレントゲン写真5枚ありましたが、まとめて1回分と数え、診断料は85点(850円)で、3割負担で260円です。
それに、初診料282点(2820円)が加わり、合計で883点(8830円)で、窓口で支払った額は3割負担で2650円でした。
脊柱のレントゲン4枚と、胸部のレントゲン1枚を撮影
▼地元の病院でレントゲンを5枚撮影した場合です。まとめて5枚撮ったのですが、明細書を見ると、撮影部位が脊柱4枚と胸部1枚に分かれていて、別々に料金を請求されていました。
どうやら、側弯症に係る部分が脊柱の撮影で、肺結核かどうかを診る撮影が胸部の撮影のようでした。
脊柱の撮影
- 撮影料(脊柱)、1枚目68点、2枚目以降34点×3枚=170点
- 診断料(脊柱)、1枚目85点+2枚目42.5点×3枚=213点(小数点以下四捨五入)
- 電子画像管理加算、57点
脊柱の部分は、撮影料と診断料で383点、電子画像管理加算で57点と記載されています。
胸部の撮影
- 撮影料(胸部)、1枚68点
- 診断料(胸部)、1枚85点
- 電子画像管理加算、57点
▼胸部は、撮影料と診断料で153点、電子画像管理加算で57点と記載されています。
2番目の例と同じ、レントゲン5枚の撮影ですが、撮影部位が分かれて計算されていて、脊柱と胸部合わせて650点(6500円)と値段があがり、レントゲンの部分は3割負担で1950円でした。
実際には、他にもいろいろ検査したので、その料金や初診料がかかっています。
まとめ
レントゲンの料金は、撮影部位と枚数、それに患者の負担割合などによって異なりますが、3割負担とすると、手足の撮影だと1枚で500円から、頭や胸などだと630円から、乳房の場合は一番高くて1690円です。
複数枚撮影する場合も多いでしょうから、だいたい700円~1500円程度になると思います。また、撮影する部位が2つ以上あると、もっと料金はかかってしまいます。
そのレントゲンの費用に加え、医師の診察料(初診料、再診料)や、薬を処方してもらったら処方料などもかかります。自分の体の関することなので、医療費の節約はしない方が無難ですが、どうぞご参考にしてください。
そして、1年間で支払った医療費が、1世帯で10万円を超えると医療費控除が受けられますので、領収書は捨てずにきちんと保管しておきましょう。